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妹が眠っているのを確認し、彼はそっと扉を閉めた。背を壁にもたせかけ、彼は大きく肩を落とした。こぼれた息には、疲労の色が濃い。 「キルシュ! どこにいる!」 階下から聞こえた声に、のろのろと面を上げると、キルシュはそっと階段の方へと歩み寄った。彼が姿を見せると、階下の友人は安堵したように声を上げる。 「ああ、キルシュ……」 彼は、ふと不安そうに、瞳を揺らした。 「……キャスリンは?」 「ああ、医者に見せたが、心配ないって」 「そう――」 その答えに、一瞬だけ目が和んだものの、すぐに厳しいそれに変わる。探るような瞳の応酬があった。 「キルシュ」 「ん?」 「お前、何か知ってるだろ」 瞬間、言葉に詰まった。すぐに笑って否定する。 「まさか」 だが、その答えは、キルシュ自身にもあまりに、弱いもののように聞こえた。ますます険しさを増す応酬に、先に目を反らしたのはキルシュだった。 「それ以上、聞かないで欲しい、頼む」 「そんなの納得できな……」 「お願いだ。もう、あいつに手出しなどさせない。だから、これ以上聞かないでくれ」 強い口調で遮ると、にべもなく続けた。 「出来れば、もう僕らに――キャスリンに関わらないで欲しいとさえ思ってる」 「キルシュ……」 アリュードは、しばらく沈黙していた。だが反論はせず、黙って頭を下げると、そのまま背を向けて、扉を開けて出ていく。 残されたキルシュは、手すりにもたれるようにして、そっと頭をたれた。 |
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素材配布元:「神楽工房」様